農家に預けた1年分の小麦と大豆は、何も起きなければ翌年、麺や味噌などの加工品になって自宅に届きます。掛け捨てにならない仕組みと、届いたあとの食卓での使い方、家のローリングストックとの分担を、会員規約の言葉で確かめながら紹介します。
先に答え:何もなければ、翌年、麺や味噌になって届く
「農家の備蓄」に申し込むと、あなたの家族のぶんの小麦と大豆を、松橋農場が畑で育て、収穫のあと低温庫で1年間預かります。
では、その1年に何も起きなかったら?
答えは、会員規約に書いてあります。
平時において備蓄食料の引き出しが行われなかった場合、当社は、これを掛け捨てとせず、会員に対し次の返礼品を提供する。——農家の備蓄 会員規約 第9条
個人の豆・麦プランなら、翌年、約20,000円相当の加工品(麺類、味噌など)が自宅に届きます。家庭の備蓄として、約3か月分が目安です。お米まで備える米豆麦プラン(いまは満員)は、これに玄米30kgが加わります。
預けたぶんが、食べられる形になって還ってくる。会費は掛け捨てにならない。これが、この記事でいちばん伝えたいことです。
畑から食卓まで、1年をたどる
「翌年」までに、預けた小麦と大豆はどこで何をしているのか。順にたどってみます。
春、あなたのぶんの種まき
種まきは5〜6月。会費は種まきの前、4月末までに振り込みます(4月末に半額、11月末に残りの2回払いも選べます)。あなたの申し込みが先にあるから、農家はその年、あなたのぶんの畑を計画できます。種は100%国産です。
夏と秋、収穫して低温庫へ
収穫した小麦と大豆は、自宅には送られてきません。農場が指定する倉庫の低温庫へ運ばれ、品質を保ちながら保管されます。搬入の目安は、小麦が8月、大豆が11月です。
ここからの1年間、それは「あなたの名義の備え」です。地震や長い停電、物流が止まったときなど、規約に定められた条件のときには、供給が難しくなる前に登録したメールアドレスへ連絡が届き、備えていた分を全量引き取れます。
そして翌年、台所でそのまま使える形で
何も起きずに1年がすぎたら、備蓄した小麦と大豆は加工品になって、翌年、自宅に届きます。届くのは、麺や味噌など、そのまま食卓に出せる形です。
届いたあとの「食べ方」:これも、ローリングストック
家庭で備蓄を続けるやり方として、ふだん食べるものを少し多めに買い、食べた分だけ買い足す「ローリングストック」があります。難しいのは、在庫を数えて、期限を見て、買い足しつづけること。
農家の備蓄では、育てる・預かる・入れ替えるを農家の側が引き受けます。会員規約でも、平時の返礼品は「平時のローリングストック」と呼ばれています。
家庭に残る役目は、ひとつだけ。届いたら、ふだんの食事で食べることです。
非常用として仕舞い込まない
届いた麺や味噌を「もしものとき用」と決めて棚の奥にしまうと、家庭の備蓄が続かなかったときと同じことが起きます。おすすめは、いつもの乾麺の場所、いつもの味噌の場所に、そのまま混ぜてしまうこと。平日の昼にゆでる。毎朝の味噌汁に使う。それで、翌年また新しいぶんが届きます。
家に置く備えとの分担
これで、家の備えがすべて要らなくなるわけではありません。水や、火を使わずにすぐ食べられるものは、これまでどおり手の届く場所に。いちばん場所と手間がかかる主食のぶんを、農家に任せる。そんな分担です。
2年目からは、備蓄そのものが加工品のかたちに
もうひとつ、規約に書かれていることがあります。「2年目以降は、麺類・味噌・玄米等の加工品としての備蓄に移行する」(第3条)。
1年目は、畑で育てた小麦と大豆を低温庫で備える。2年目からは、その備えが、そのまま食べられる形に変わっていく。備蓄が「粒」から「食卓の形」に近づいていく、と読むことができます。
そして、備えの中身は毎年知らされます。契約を更新するとき、農場はその年の備蓄状況と収穫実績を会員に報告します(第11条)。会費が何に使われたかも、年度ごとの事業報告で開示されます(第4条)。預けたまま、見えなくなることはありません。
続けるときに、知っておきたいこと
翌年も続けるなら、知っておいてほしいことが4つあります。
- 入会金は初回だけ。2年目以降は年会費(豆・麦プラン 50,000円・税抜)だけで続けられます。
- 契約は1年ごとの自動更新。翌年は続けない場合、その年の12月末までに申し出ます。翌年の畑の計画を確定するための決まりです。
- 天候で収穫が減った年は、全国の連携農家からの代わりの供給か、翌年の数量で調整します。返礼品の内容と数量も、収穫の状況によって年度ごとに見直されることがあります。
- 口数は家族の人数ぶん。1口が1人の1年分です。家族が増えた年は、口数を増やして申し込めます。
もうひとつ。これは、農家と食べる人が協力して食べものを備える、会員の仕組みです(第12条)。掛け捨てにならないのは、預けた小麦と大豆が、食べものとして還ってくるからです。
「うちのぶん」が、食卓に還る
朝の味噌汁を出しながら、「この味噌、去年うちのぶんに育ててもらった大豆なんだって」と話す。子どもは半分聞いていないかもしれません。それでも、備えが台所にあって、毎日すこしずつ食べられていく。
備蓄を、がんばって続けるものから、任せて、食べて、つづくものへ。翌年の食卓まで、たどってみました。